広島大学大学院工学研究科機械システム専攻 機械要素学研究室
平成10年度卒業論文概要













特殊歯形歯車ポンプの設計と吐出量の計算

0781020 大塚 和昭

 我々の研究室では,インボリュート歯車に代わる歯車として,サイクロイド曲線を応用したインボリュート・サイクロイド合成歯形歯車,修正サイクロイド歯形歯車という2種類の特殊歯形形状の歯車を開発しており,平歯車において,これらの特殊歯形歯車の曲げ強度,歯面強度はインボリュート歯車よりも優れていることが分かっている.さらに,上記の特殊歯形平歯車のはすば化について検討し,インボリュート・サイクロイド合成歯形はすば歯車および修正サイクロイド歯形はすば歯車の開発・設計が行われた.そして,それら特殊歯形はすば歯車は,かみあい伝達誤差・振動加速度がいずれもインボリュートはすば歯車よりも小さく,優れた振動性能を示すこと,成形方式の歯面研削によって歯車を研削可能であり,研削により振動性能が向上することが実験より確認されている.

 そこで本研究では,歯車において重要な性能の一つである歯面強度をとりあげ,ここではピッチング損傷発生の度合い,すなわち耐ピッチング強度について実験的に検討した.試験歯車として,特殊歯形はすば歯車の中からインボリュート・サイクロイド合成歯形はすば歯車を選択し,その比較の対象となるインボリュートはすば歯車との2種類の歯車を用いて,動力循環式試験機によりピッチング試験を行った.

 そして,試験によって得られたピッチング面積率,歯形曲線,歯面写真の三つの点から比較し,その結果について考察した.それを以下に示す.

 2種類の歯車を比較検討した結果,インボリュート・サイクロイド合成歯形はすば歯車の方が,インボリュートはすば歯車よりも歯面強度において優れていることが明らかとなった.また,高い荷重をかけるほど歯面損傷が激しいことが,どちらの歯車からも確認された.これらは,平歯車を使用した歯面強度(ピッチング損傷)試験と同様な傾向であり,歯車をはすばにした場合においても,インボリュート・サイクロイド合成歯形歯車の有効性が認められた.
広島大学大学院工学研究科機械システム専攻 機械要素学研究室
Copyright(C) 2005
広島大学大学院工学研究科機械システム専攻
機械要素学研究室
〒739-8527 広島県東広島市鏡山1-4-1